追尾式架台ってどうなのよ。

一般に、太陽電池モジュールは一定に方位・傾斜で固定して設置します。「南向き・20度」とかです。ここで、南向きとか、ちょっと西向きといった方位を表す角度を「方位角」、20度とか30度という傾斜を表す角度を「傾斜角」といいます。

系統連系型の太陽光発電システムの場合には「年間の発電量が最大になるように」とまず考えるのが一般的なので、「真南・緯度と同じくらいの傾斜角」が検討の第一歩になります。とはいっても、「傾斜角が大きいと影が長くなるので土地が多く必要だ」「耐風圧を考慮すると基礎を丈夫にしないといけない」「敷地の形状の関係で真南にこだわると無駄なスペースが多く出来てしまう」などの検討で、方位角や傾斜角を調整していきます。

ところで、太陽電池モジュールは、太陽からの光の向きに向けると一番多く発電します。(ここでは細かいことは抜きにしてください。) すなわち、朝から夜まで、また季節ごとの太陽の高さにも合わせて太陽電池モジュールの方位角・傾斜角を調整するとより多くの発電が期待できるわけです。PV EXPO でもいくつかのブースで展示がありました。

  • 一般的な据付条件の固定式架台と比較して、追尾式架台の特徴としては以下のものがあげられます。
  • 発電量が多くなる (特に朝・夕・冬など太陽の低い時間帯)
  • 多くの据付面積が必要
  • 値段が結構高い (太陽電池モジュール20枚程度用の1基で200万円とか)
  • 動く部分があるわけで壊れたらどうする?というリスクがある

で、その効果ですが、各メーカーさんがそれぞれデータをとられたりしています。カタログやホームページにも数字はいろいろと書かれていますが、誇大広告とまではいわないのですが、やや東スポ的なものもあるようですので、慎重にご判断ください。また、効果(発電量の増加)からリスクを引いたものが、投資額に見合うかはご自身でご計算をいただかねばなりません。

一般論でいうと、日本の一般的な場所で、一般的な方位角(真南)・傾斜角(20度)の固定式架台を比較すると、年間の総発電量と比較してだいたい2~3割アップが期待できるのではと思います。(公表されている各社のデータや研究データによる)

ご検討にあたっては、以下の点がポイントになると思います。

  • 一軸か二軸か → 「傾斜角のみ」が可変か、「方位角・傾斜角」とも可変か
  • 高さや必要な敷地 → 影や景観など近隣への影響もご検討ください。
  • プログラム式(太陽がある「はず」の場所に向く)か光センサー(明るい方を向く)か → 光センサー式の場合、薄曇りのときに複数基が別々の向きを向いたりするようなものもあります
  • 強風や積雪等に対する耐久性やそのときの挙動 → どの程度の強風や積雪に耐えられるのか。また、ぶっこわれないようにどのような安全対策が講じられているか
  • 電源供給が絶たれた時の挙動や耐久性 → 人力で動くのか・あるいは動かなくてもとりあえずは十分に丈夫なのか
  • 修理等サポート体制 → 故障等にはどの程度の日数がかかるのか(故障時の発電できない期間の想定)
  • 費用と効果 → 追尾式架台導入コストとリスクに見合った発電量の増加が見込めるか
  • 定額電灯契約(小型機器)のコスト → 結構かかりそうなコストですから見落せません

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