エクストリーム膨大なデータでエクストリーム過積載に挑む(1)

エクストリーム膨大なデータでエクストリーム過積載に挑む(予告編)の続きです。

弊社の「ねぎソーラー」(千葉県我孫子市)の遠隔監視システムとしても使っている TIGO Energy では、「パネル1枚ごと」「2秒ごと」の発電電力のデータを蓄積できます。このデータを使って、「仮にパネルをさらに積増ししていたら、計算上のパネルの総発電量が増えていて、どれだけの電力量がパワコンの制御・容量の制約によりポイ(カット)されて、売電できる電力量がいくらになっていたか」をシミュレーションしてみます。

「ねぎソーラー」のパネルの傾斜角は15度(最後列はもっと大きいですが)です。方位角は西へ18度で真南向きではありません。また、当然ですが、場所によっても日射量が異なります。パネルの汚れ方も異なるでしょう。ですから、このシミュレーション結果のみで「過積載率がいくらがベストか」の正解を決められるものではないことにご注意いただき、あくまでも1つの例、ご参考としてお取り扱いください。なお、パネル-パワコン間のロスは1%、パワコンの変換効率は94%と仮定しました。

まず手始めに、「条件のよい日」の挙動を確かめてみます。「ねぎソーラー」連系後(2014年5月29日からの)1年間で、1日の総発電量が最も多かったと思われる日=天気などの条件がよかった日を選びます。ということで、2015年4月26日のデータを使うことにしました。

「ねぎソーラー」の過積載率は125%です(パネル37.2kW・パワコン29.7kW)。まず、125%では「ポイ」されている電気はないと思われることを確認しました。ここで「ポイ」がすでに発生してくると、パネルを積み増したときの計算上のパネルの総発電量の計算の前提が崩れてしまいます。

で、2秒ごとの発電電力から積算して・・・というのはちょっと大変なので、5分ごとの平均発電電力を計算しました。これに過積載率を変えた場合=パネルを積み増ししていた場合の計算上のパネルの発電量を求め、さらに、上記のロス・変換効率をもとに「ポイ」される電力量と、売電できる電力量を計算しました。なお、過積載率は%単位(整数)で変化をさせています。

結果は以下のとおりです。(上述のとおり、あくまでもこの条件のいい日の、1日の「ポイ」と総発電量の計算です。)

126%: 「ポイ」されない (売電できる電力量は126%)
127%: 0.03%「ポイ」される
130%: 0.36%「ポイ」される
140%: 2.65%「ポイ」される (売電できる電力量は136%)
150%: 5.53%「ポイ」される (売電できる電力量は142%)
160%: 8.66%「ポイ」される (売電できる電力量は146%)
170%: 11.94%「ポイ」される (売電できる電力量は150%)
180%: 15.17%「ポイ」される (売電できる電力量は153%)
190%: 18.27%「ポイ」される (売電できる電力量は155%)
200%: 21.20%「ポイ」される (売電できる電力量は158%)
250%: 33.46%「ポイ」される (売電できる電力量は166%)
300%: 42.58%「ポイ」される (売電できる電力量は172%)

例えば、過積載率150%の場合、パネルの計算上の総発電量のうち5.53%が「ポイ」されて、過積載率100%の場合と比較して売電できる電力量が1.42倍になります。(つまり、+50%の積み増し分に対して42%の発電量の増加といえます。)

仮に「ダブル過積載」(200%)に挑んだ場合、この日は21.20%が「ポイ」されて、売電できる電力量は158%になります。(つまり、+100%の積み増し分に対して58%の発電量の増加といえます。) 積み増したパネルの発電量のうち、42%が「ポイ」というのは確かに大きな割合に見えますが、年間を通じてみると、曇っている日・時間も少なくないわけですから、この日のような「かなり理想的な発電が可能な日」というのは多くはありません。実際のところ、1年を通じてみると「ポイ」が何%とシミュレーションできるのかを、1年分の TIGO Energy のデータを使って、次回以降に検討をしたいと思います。

えっ、「トリプル過積載?」(300%)? +200%の積み増しに対して、「かなり理想的な発電が可能な日」では72%しか発電量の増加しないようです。曇りの日・時間のことを考えてもさすがにこれはやり過ぎのような気がします。

くどいようですが、その場所の日射量・パネルの方位角や傾斜角などの条件によって結論が変わってきますから、あくまでもご参考としてお取り扱いください。

・・・、なお、「ねぎソーラー」の TIGO Energy が1周年になるのは11月下旬です。このシミュレーションの結果が出るのはそれ以降ですので、気長にお待ちください。

追伸:
過積載には「パネルを多く直列接続することで電圧が上がるので朝のパワコンの始動時刻が早くなる(夕方も遅くなる)」「もしパネルに不具合が生じてもそのパネルを抜いてもまだ十分なパネル容量を確保できる」などのメリットがあります。他方、(過積載しない場合と比較すると)パワコンがフルパワーで運転する時間が増えるので不具合が出やすくなるのではという心配もありますから、総合的にご判断ください。

■ お知らせ(1)
弊社のロクテックあびこ発電所(通称「ねぎソーラー」)(パネル 37.2kW・パワコン 29.7 kW)の発電量(TIGO EnergyによるDC側発電量(パネル発電量合計値))は、いつでもこちらからご覧いただけます。実際の売電量はTIGO EnergyによるDC側発電量の90%前後です。また、「ねぎソーラー」の過去の売電量は弊社発電設備の発電実績からご覧いただけます。

■■ お知らせ(2)
当ブログの次回の情報交換会は、11月28日(土曜日)を予定しております。この日で年を忘れてしまおうという大胆(?)企画です。場所は新宿近辺の例の場所、開始時刻はちょっと早めに18:30から、会費は3,500円(消費税込み・弊社謹製領収書付き)です。ご参加表明は弊社(「合同会社ロクテック」)について・連絡先に記載のメールアドレス宛の、情報交換会へのご参加表明とわかる件名の電子メールでお願いいたします。

■■■ お知らせ(3)
当ブログ主の携帯電話(090-2xxx-xxx0)が当分の間、不通になります。(電話料金未払いではありません。) ご用がありましたら電子メールか別の電話番号(050-3xxx-xxx3 = 留守番電話サービスあり)でお知らせいただければと思います。

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