エクストリーム膨大なデータでエクストリーム過積載に挑む(3)


エクストリーム膨大なデータでエクストリーム過積載に挑む(予告編)エクストリーム膨大なデータでエクストリーム過積載に挑む(1)エクストリーム膨大なデータでエクストリーム過積載に挑む(2)の続きです。

「ねぎソーラー」のTIGO Energy の1年分のデータをごっそりダウンロードしてみました。1分ごと、120枚のパネルそれぞれの発電量ですが、あまりでかいといろいろと問題になるので月ごとにダウンロード、合計12個の zipファイルで 95 MBありました。これを Excel で開いて1つのファイルにまとめるとなんと295 MB。もうお腹いっぱいでありますので、120枚の平均を1分ごとに出したり、パネルの仕様上の出力に対する1%きざみの頻度表にしてみたりで、なんとかファイルサイズを取り扱いやすいサイズにしてみました。当初のデータ個数は3,100万個、120枚の平均を1分ごとにだしてようやく26万個というデータ個数でした。(ほしい方、Excel ファイルで差し上げます。いらないって?)

「ねぎソーラー」の過積載率は125%と「ほどほど」ですが、過去の発電量データを見る限りでは、「TIGO Energy で表示される発電量(パネル単体)」の90%程度が「ポイ」されることなく売電電力量になっているようです。
パネル容量、パネル容量に対する出力(%)、90%という数字と、任意の過積載率をかけて、これがパワコン容量に対してどうなのよという比較により年間の総「ポイ」量を計算してみました。

なお、「ねぎソーラー」の所在地は千葉県我孫子市、特段日射量がすばらしい場所ではありませんが、ちょっと残念という場所でもありません。また、方位角は西に18度くらい、パネルの傾斜角は15度(最後列は25度くらい)です。

で、上記の前提で(あくまでも前提がありますからこれが最終の結論ではありません)、とりあえずわかったことは、こんな感じです。

  • 過積載率140%でもほとんど「ポイ」が生じません。過積載率100%(パネル容量=パワコン容量)の場合と比較して、パネル容量40%増量に対して、年間総発電量は39.31%の増加という結果になりました。全パネルからの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は0.49%、過積載分(増量分)からの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は1.72%でした。この程度なら敷地に余裕があって、その他いろいろな事情が許せばしっかり積んでおきたいところかと思います。
  • 過積載率160%でも「ポイ」は小さいです。過積載率100%(パネル容量=パワコン容量)の場合と比較して、パネル容量60%増量に対して、年間総発電量は55.06%の増加という結果になりました。全パネルからの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は3.09%、過積載分(増量分)からの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は8.23%でした。なお、過積載率140%と比較すると、パネル容量+20%に対して、年間総発電量は+11.31%でした。単純利回りの低下がこのあたりから出てくるのではと思います。(ただし土地代や管理コストを考えると、積めるものならまだ積んでおこう、という評価になるかなと思います。)
  • 過積載率180%では「ポイ」が気になってきます。過積載率100%(パネル容量=パワコン容量)の場合と比較して、パネル容量80%増量に対して、年間総発電量は67.17%の増加という結果になりました。全パネルからの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は7.13%、過積載分(増量分)からの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は16.03%でした。パネルや架台、その他パネルの増量で増える材料費・工事費のお値段次第ではありますが、このあたりから雲行きが怪しくなってくる感じでしょうか。過積載率160%と比較すると、パネル容量+20%に対して、年間総発電量は+7.81%でした。パネル増量分の発電量と、増量のためのコストを考えると、無理をしてチャレンジしても思ったほど総発電量は増えないという結果になるかと思います。
  • 過積載率200%では、過積載率100%(パネル容量=パワコン容量)の場合と比較して、パネル容量100%増量に対して、年間総発電量は77.07%の増加という結果になりました。全パネルからの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は11.47%、過積載分(増量分)からの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は22.93%でした。このあたりからだんだんコスト面では現実味がなくなってくるような気がします。ちなみに、過積載率180%と比較すると、パネル容量+20%に対して、年間総発電量は+5.9%でしかありません。「ダブル過積載に挑む」はネタと、総収入の増加と、余った土地の有効活用にはつながりそうですが、パネル増量分の発電量と、増量のためのコストを単純利回りから評価すると現実的ではなさそうです。ただし、土地を余すよりは総収入を増やしたい、という考え方ならありかもしれません。
  • 過積載率300%では、過積載率100%(パネル容量=パワコン容量)の場合と比較して、パネル容量200%増量に対して、年間総発電量は111.48%の増加という結果になりました。全パネルからの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は29.51%、過積載分(増量分)からの発電可能量を分母とした場合の「ポイ」率は44.26%でした。過積載率200%と比較すると、パネル容量+100%に対して、年間総発電量は+19.44%でしかありません。「トリプル過積載に挑む」のはパネルが有り余っている仕方のない方のみ、ということになるのかなと思います。

180%とか200%とか300%というのはまさにエクストリームであるようです。160%ちょっと超えくらいのぎりぎりエクストリームくらいが現実的な利回りという観点から考えると、上限なのかなという気がいたします。ただ、いい土地もなかなかみつからない今日このごろ、見つけた土地で収入を最大化という点での検討も必要であります。

■ お知らせ(1)
弊社のロクテックあびこ発電所(通称「ねぎソーラー」)(パネル 37.2kW・パワコン 29.7 kW)の発電量(TIGO EnergyによるDC側発電量(パネル発電量合計値))は、いつでもこちらからご覧いただけます。実際の売電量はTIGO EnergyによるDC側発電量の90%前後です。また、「ねぎソーラー」の過去の売電量は弊社発電設備の発電実績からご覧いただけます。

■■ お知らせ(2)
当ブログの次回の情報交換会は、来年2016年1月23日(土曜日)を予定・・・しておりましたが、大人の事情により日程を再検討することになりそうです。日程のご要望等は弊社(「合同会社ロクテック」)について・連絡先に記載のメールアドレス宛の電子メールまたはこのブログ記事のコメント欄へお願いいたします。

コメント

  1. 趣味人 より:

    過積載に関する情報を科学的データーから追い込んで発信されている姿を、とても参考にさせて頂いております。
    発電開始からまだ何年も経っていない発電所を持つ立場として、また、まだ稼働どころか設置していない36円物件を持つ立場として、また、現時点で24円部件を取得した状態にいる立場として、さまざまな条件下で過積載が有効であり、多くのパターンが存在しているように思われます。
    増設と言う観点から考えれば、時には既存設備からの200%越えでも十分に利回りが良かったりしますし、、新規発電所の場合での利回りを考えたりと、楽しいことしか想像できない今日この頃を過ごせ、感謝感謝です。

    • fppvfppv より:

      コメントありがとうございます。
      既存設備の設備認定上の発電出力(ほとんどの設備の場合はパワコン出力だと思いますが)を変えずにパネルだけ増量というのは、敷地に余裕のある方にはぜひおすすめです。固定価格での買取期間は当初の連系から20年間ですから、まさに善は急げ、です。
      弊社のシミュレーションでは27円や24円でそのときの一般的なコストで一般的な立地だと、170%くらいが利回り的にはベスト、土地が余っているなら200%でも十分ありでは(170%を超えたからといって利回りがガクンと落ちるわけではないので)であります。「敷地に余裕がある」「パワコンの仕様上も増設が可能」「40円・36円・32円の発電設備」な方はうらやましい限りです。
      弊社も楽しいことを実現したいのですが、資金調達力の関係から妄想のほうが多くなってしまっていますが、今後とも当泡沫ブログにおつきあいをいただけますと幸いです。

タイトルとURLをコピーしました