「効率性向上のための送配電網の維持・運用費用の負担の在り方の検討」を検討してみる

一部で盛り上がっている、「電力・ガス取引監視等委員会」の「制度設計専門会合」の第10回会合の配布資料「効率性向上のための送配電網の維持・運用費用の負担の在り方の検討」の件であります。某この方面では有名なブロガーさんからのメールでも「心配」とメールをいただいていたわけでありますが、まずは明るく盛り上がるのがいろいろな意味で吉であります。

これ、要するに、「あなた、作る人」「わたし、運ぶ人」「だから運び賃を払うアルよ」ということであります。送配電網は電力会社のものだから払うアルよ、電気を買ってる人だけが託送料を負担とおかしいアルよ、という理屈であります。電力自由化の理屈からすれば、これ自体は当然であります。

再エネ由来のめんどくさい電気を「さっさと連系しろ」「1Wh残らず買い取れ」と声の大きな方に圧力をかけられて、自由化しても運ぶ責任その他いろいろな責任だけしっかり負わされるので既存の電力会社も大変であります。(日頃の行いがとか、経費は何でも電気料金に付け回すくせにとか、そういえば例の件はコントロールされてるってまじかよとか、究極の無責任だろ云々は全くそのとおりでありまして、全面的に同意はしますが、それはまた別の次元の話であります。) これまで「送料」は着払いでよかったものが、今度からは諸般の事情で「送料」は発送元と発送先で分けてご負担いただきたくということでありまして、そのへんもまあ時代の流れでありましょう。

「えっ、俺達の儲けは保証してたのはどこいった?」「利益が吹っ飛ぶだろ!」「3年間は利潤に配慮するはずだろ!」とプリプリする向きもあるようでありますが、固定価格買取制度は買取の単価を保証しているだけ、最初の3年間は特に利潤に配慮して買取単価を決めると言っただけであります。だれも儲け・利益・売上を保証していないものです。空き地に中華パネルを並べて「買え買え!」と言えばチャリンチャリンと毎月振り込まれてウマウマ、パネルは20年の出力保証もつくからこれで国が保証する20年の安全投資!なんて思っている方は当ブログの読者の方の中にはいないものと思いたいところでありますが、そんな虫のいい解釈をしている方は退場をされたほうがいいとお上もきっと思っていることでしょう。心中お察し申し上げます、資源エネルギー庁の再エネ派のみなさんと電力会社の窓口と接続検討をしているみなさん。

とはいえ、固定価格買取制度の建前は「まともにやれば、それなりに利益が出るような買取単価は決めてやるから、積極的に投資したまえ、でもやるならまともにやれよ」であります。積極的に投資したまえと言っておきながら、あとで前提には含まれていないとんでもない「送料」をふっかけるというのはどうかと思いますし、声の大きな事業者さん(特にハゲタカ系とか特定アジア系とか政商系とか禿しいロビー系とか)はだまっちゃいないでしょうし、イケイケで融資して回収が心配になった金融機関さんなんぞも困るでしょう。イケイケで焦げ付いて、ひいひいいっているところで、今度は「るんるん毛抜きで前受金も売上計上なのだ」なプラチナムな毛抜き屋もぶっ飛んでいる納豆方面のちょっとサンシャインな地銀さんなんて大変のような気もします。(今度、うちにも貸してください、お願いしましたよ。)

よって、「まともにやっている」「それなりに利益が出る運営」な事業者が傾くほどのとんでもない「送料」がふっかけられるようなことはないのではと予想をするわけであります。あるいはしっかり送料を計算して、これが買取価格に上乗せのような運用もあるかもしれません。固定価格買取制度の中での、価格算定のベースとなるコストが大きく変わっているわけでありますから。それに、設備設置負担金を払って連系をしているわけでありますから、電力会社負担の設備を使って電気を引っ張っている需要家側とはちょっとちがう計算になるのがスジでありましょう。まあ、スジが通るかどうかがよくわからない世の中ではありますが。

託送料金は低圧の小売だと8円から10円/kWhくらいでありますが、この半分と考えて4円から5円/kWh、いや、しかしながら実際のところ、低圧連系の太陽光の電気なら低圧の配電網の中で電気が消費されるケースも多いでしょうから、4円/kWhにもならないのではという気もします。クマとかキツネしかいないようなど田舎でド派手な低圧敷地分割とか高圧で「さっさと連系しろ」「1Wh残らず買い取れ」なんて電力会社に大声で言っていたような方には「高圧部分の託送料金も払ってくださいねえ」になるかもしれません。ルールが複雑になるのはどうかなという気はしますが、心情的には私がルールを作る側なら(以下略)。

趣旨から行くと、kWhベースよりも、kWベースの課金のほうが筋が通っていそうな気がします。低圧1つ、5万から10万kWhで、2円/kWhとすると年間10万円から20万円、50kWで割返すと、年間2,000円/kWとか年間4,000円/kWくらいでありましょうか。年間売電収入が200万ほどに対して、10万とか20万というのはけっこう負担になりそうであります。まるで禿しいヤフオク税や、脂ギッシュな楽天税であります。このレベルの「送料」をとられるのであれば、このコストも踏まえて固定価格買取制度の買取単価も見直しをお願いしたいところであります。

買取単価の見直しなしで、kWベース課金でこんな金額になったらパワコンがぶっこわれたときにはダウンサイジングによる過積載率向上とか、逆にパネルの増設でスーパー過積載・エクストリーム過積載・ダブル過積載が流行るかもしれません。TBCな9.9kW 5台がぶっこわれたら、他社の10kW 4台に置き換えなんて流れができるかもしれませんしできないかもしれません。

根拠? そんなものありません。全部、妄想と当てずっぽうです。だいたい、なんとか監視委員会に電話すらまだしてないですし。まだ、ですが。

と、いうことで、当ブログのような泡沫ブログを見ていたり、あるいは他人様のブログの記事だけを見て、気になって仕方のないという方は、精神衛生上、えいっと役所に電話一本でもして事実を確認するとともに紳士的に意見をすることがよいのではと思うわけであります。まあ、「ご意見として承っておきます」で終わりかもしれないですし、きっついお姉ちゃんに冷たく事務的にあしらわれることもあるかもしれませんが、役所に意見をするのは国民の権利であります。

ということで参考リンクをペタッと。

ソーラーヤクザとかソーラーチンピラとか、ソーラー欲豚などと思われないように、電話をされる方は善良な市民として紳士的に、簡潔かつ理路整然とお願いしたいものであります。

■ お知らせ(1)
弊社の発電設備の発電量弊社発電設備の紹介から、過去の実績は弊社発電設備の発電実績 から、それぞれご覧いただけます。無線LANとかインターネットが不調だったりしますが、なんとか再開いたしました。2ヶ月草刈りをさぼると、背丈よりも高い雑草が繁茂して大変でありまして発電量にも悪影響でありました。なお、「ねぎ」「えび 1号」では TIGO Energyにより DC側発電量のみを監視しておりますので、DC側発電量を実際の売電量に換算される場合には0.9くらいをかけてください。

■■ お知らせ(2)
太陽光発電の設備の設計や購入に関するご相談をいただくことがときどきあります。技術的なご相談はお受けできることもありますが、業者さん(メーカーさん・施工業者さん・販売業者さんなど)の信用状態に関するご相談はいただきましても回答することはできません。「民間企業の寿命は案外短い」「この業界はいわゆる太陽光バブルで新参者がたくさんいてそういう業界・業者さんはだいたい(中略)」ということを念頭において、ご自身のご判断で取引業者さんをご選定ください。信販審査通ってもアレ、公庫の融資審査通ってもまたアレ、こっそり見積もりの金額を上げられたり、こっちが発注しますといってから1割近くも値段を上げられたりなどなど、引きの弱さは自信がありますので、信用状態のことは当ブログ主は聞かないほうがいいと思います。

■■■ お知らせ(3)
最近、分譲物件のご購入に関するご相談を多くいただいております。利回りだけを見て検討されていると思われるケースが少なくないようでありますが、メーカーさんや業者さんがまともな根拠もなくシミュレーションをしていると思われる例(「実績」と言いながら近くに比較対象になっているべき設備が存在しない・明らかに発電量を多く盛りすぎと思われるもの)や、利回りを2倍近くに盛っている例もありました。土地代が含まれていないのに土地付きとかなんじゃそりゃというものもあったりしますし、シミュレーションやそれをもとにした想定利回りは、「シミュレーションなので保障しません」でなんとでも言い逃れができるものではあります。イケイケなのか下請けに丸投げなのか担当者が勝手にやり放題なのか、結構いい加減な会社さんもこの業界には少なくないようであります。どうかみなさまにおかれましては、利回りや価格の適正さをご自身の責任において見極めてご判断をされますようお願い申し上げます。

コメント

  1. Rom より:

    太陽光はユートピア 子供の世代も安心
    100年に 1度の 大チャンスと思い
    複数基投資しましたが、はぁ〜

    やはり 100年前の 移民と同じように 国を信じた
    私が バカ だったのでしょうかね 〜

    どうにか 浅傷くらいで 治めたいですね。

    陳情がんばりましょう

    • fppvfppv より:

      まともにやっている事業者が傾くほどのえげつないことにはならないと予想はしますが・・・。
      成り行きを見守りつつ、いずれは一市民としてもご意見をするつもりであります。

  2. 匿名希望 より:

    勇気ありますねえ。

    ではヒントをば。
    現在逆潮流ない、系統連系高圧型自家発電所のアンセラリーは
    50円/KW・月です。

    ですので、太陽光発電所などが、おっしゃるとおりのKWでの課金なら低圧で月2500円、年間3万円ぐらいでしょうか?
    これなら現実的ですね。

    • fppvfppv より:

      コメントありがとうございます。
      「今度からは送料はちょっとご負担いただきたく」なレベルなのか、それとも固定価格買取制度の算定根拠から「話が違う」というレベルの金額になるのかによっても変わってくるとは思いますが、「ビタ一文払うか、売上は固定価格なんだから経費を増やしてくれるな」的なものはちょっとどうかなと思うわけであります。

タイトルとURLをコピーしました