「設備利用率」と「稼働率」あるいは「利用可能率」

昨今一部でアレな「設備利用率」と、まあ関連しないでもない「稼働率」あるいは「利用可能率」についてであります。

太陽光は設備利用率が低いから使えねーなんて話も、特に「あちら側」からあったりなかったりしますが、率は低いからだからなんだと思うわけであります。大事なのは量であったりそのためコストであったりするわけであります。率が足りなければ量を増やせばいいじゃない、であります。

さて、設備利用率、太陽光だと十数パーセントとよく言われているわけでありますが、これは「定格出力1kWっていうけどさ、ほんとにそのとおりに一定時間、発電できる、その発電設備?」の指標であります。1年は365日×24時間で8,760時間でありますから、定格出力1kWの発電設備が1年間に8,760kWh発電できれば、設備利用率は100%であります。夜には発電をしなかったり雨だったり曇だったり、電柱の影だったり鳥の糞だったり、いろいろあるわけで、実際には1,100kWhとか1,200kWhくらいなことが多いわけで、「十数パーセント」になるわけであります。

「稼働率」あるいは「利用可能率」でありますが、こちらは要するにいつも運転してますかってことであります。どの程度の出力かということは関係ないわけで、点検とか故障がなければ100%であります。太陽光の夜間はどうなるのかといわれるとさあどうなんでしょうか。止めたわけでも、故障しているわけでもないからいいのかいな、それともパワコンが「停止」しているから発電設備としては「稼働」してないとカウントするのがいいのか、そこはよくわかりません。

で、昨今一部でアレな件は、「設備利用率」の分母、すなわち定格出力ってパワコン容量なのか、パネル容量なのかであります。家庭用屋根の太陽光発電システムだとパワコン容量のほうが大きいことが一般的でありまして、「パネルの容量=発電設備の能力」なわけでありますから、パネルの容量での計算でよいわけであります。

ところが、いわゆる産業用といわれるアレ、チャリンチャリンビジネスとか、売電事業なんぞと言われているもの用の中には「パネルの容量=発電設備の能力」でないもの、すなわち「パワコンの容量=発電設備の能力」なものが結構増えているようでありまして、「スーパー」だとか「エクストリーム」だとか「ダブル」だとか「トリプル」だとかいろいろ盛り上がっているようであります。最近はにわかに「過積載」を連呼したがる施工業者さんもいるくらいでありますから、それなりにホットなキーワードなのでありましょう。

お役所的には、あるいは設備認定上の発電容量は事実上、パワコン容量で決まっているものが多いわけでありまして、事実上「パワコンの容量=発電設備の能力」状態であります。固定価格買取制度のもとでの買取単価を決める材料の中には設備利用率も入っているわけでありまして、

  • パネルをもりもりに積めば設備利用率が上がる
  • それをお上は買取価格を下げる材料として使う

いやな流れが加速するわけであります。

じゃあ過積載をやめればいいかというと、「あなたがやめたところで、だれもやめませんよ」「根拠はさておきお上は毎年2円ずつ買取価格を下げるのは既定路線」状態でありますから、同じなんとかららやらなきゃソンソン状態であります。

あまり計算をしたくないのですが、弊社が某所で妄想をしていた、パワコン49.5kW、パネル116.6kWの「ダブル過積載」な設備の設備利用率を計算してみましょう。

  • パネル: 265W×440枚=116.60kW
  • パワコン: 某S社製4.5kW×11台=49.5kW
  • パネル向き: 真南向き20度
  • 初年度推定発電量: 日射量4.27×パネル容量116.60kW×365日×(1-弊社推定ポイ率19.11%)×総合設計係数80%=117,599 kWh
  • 設備利用率: 117,599 kWh÷(49.5kW×365日×24時間)=27.12%

どえらいことになりました。風力発電といい勝負であります、数字の上では(笑)

■ お知らせ(1)
弊社の発電設備の発電量・過去の実績弊社発電設備の発電実績 から、ご覧いただけます。なお、「ねぎ」「えび 1号」では TIGO Energyにより DC側発電量のみを監視しておりますので、DC側発電量を実際の売電量(AC側)に換算される場合には0.9くらいをかけてください。雑草を結構始末したので、妙な位置のパネルの発電量が少ないなんてことはなくなりましたが、今度は電柱の影の影響を受けているようであります。

■■ お知らせ(2)
太陽光発電の設備の設計や購入に関するご相談をいただくことがときどきあります。技術的なご相談はお受けできることもありますが、特定の案件に関するご質問で検討・回答に時間がかかるようなものをタダでいくらでもというわけにはいかないことはご理解ください。ブログのネタにできるような一般的なご質問は結構お答えできるかもしれません。また、業者さん(メーカーさん・施工業者さん・販売業者さんなど)の信用状態に関するご相談はいただきましても回答することはできません。「民間企業の寿命は案外短い」「この業界はいわゆる太陽光バブルで新参者がたくさんいてそういう業界・業者さんはだいたい(中略)」ということを念頭において、ご自身のご判断で取引業者さんをご選定ください。信販審査通ってもアレ、公庫の融資審査通ってもまたアレ、こっそり見積もりの金額を上げられたり、こっちが発注しますといってから1割近くも値段を上げられたり、インターネットがつながらない状態で遠隔監視システムを中途半端にそこに物理的に付けただけで(以下略)などなど、業者さん選びの引きの弱さは自信があります。そんなわけで業者さんの信用状態のことは当ブログ主は聞かないほうがいいと思います。ねぎソーラーの頃は恵まれていたんだなあとひしひしであります。

■■■ お知らせ(3)
最近、分譲物件のご購入に関するご相談を多くいただいております。利回りだけを見て検討されていると思われるケースが少なくないようでありますが、メーカーさんや業者さんがまともな根拠もなくシミュレーションをしていると思われる例(「実績」と言いながら近くに比較対象になっているべき設備が存在しない・明らかに発電量を多く盛りすぎと思われるもの)や、土地代が含まれていないのに土地付きとかなんじゃそりゃというものもあったりしますし、利回りを2倍近くに盛っている例もありました。シミュレーションやそれをもとにした想定利回りは「シミュレーションなので保障しません」でなんとでも言い逃れができるものではあります。イケイケなのか下請けに丸投げなのか担当者が勝手にやり放題なのか、結構いい加減な会社さんもこの業界には少なくないようであります。どうかみなさまにおかれましては、取引先選び・物件選びは自己責任という大前提のもと、利回りのみならず将来の収支をよくご検討の上、価格の適正さをご自身の責任において見極めてご判断をされますようお願い申し上げます。

■■■■ お知らせ(4)
第21回の情報交換会は、11月30日(水曜日)と決めましたので、ご理解とご協力を強制いたします。現時点では11名様+αよりご参加表明をいただいております。みなさまのご参加表明を首をきりんにしてお待ちしております。詳しくは忘年会のようなもの・「第21回 情報交換会」まであと10日ですよのお知らせです。をご覧ください。

■■■■■ お知らせ(5)

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コメント

  1. 匿名希望 より:

    パワコンベースの設備利用率では20%超ですが、
    パネルベースだと、15%行きませんので普通の設備ですよね・・・。
    全体でのパワコンの投資割合は、20%ぐらいの金額なんで
    パワコンもパネルも同等の場合の10%引きぐらいですか。
    高圧の場合の主任技術者料金とかキュービクルが抜けるから
    もう少し割安だと思いますが、
    メーカーの保証も抜けても・・・。うーん。
    メーカーの保証内の過積載120%ぐらいで、低圧2箇所の
    ほうが利回りもリスクもすくないですねえ・・・。

    パネルが前の10分の1の価格とかになればよいのに・・・。

    • fppvfppv より:

      コメントありがとうございます。
      低圧の土地を2か所見つけるのもまたハードルが高いわけでありまして、悩ましいところですが、今のコストでは200%を超えるとほとんど現実的でないように思えます。
      (200%→220%に増量するためのコストを回収するのに15年ほどかかるので、各種税金や資金調達コストを考えると・・・。)
      パネルがどーんと安くなればよいのですが、そうでなければ、土地の具合次第ではありますが、「400坪くらいの土地」で、「南向き20度で冬もそれなりに発電」で、「過積載率は最大で140%から180%くらい」というのが利回り的にはよさげかなと思っております。

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