全然唐突ではないけども事後的過積載規制で盛り上がるこちら側のクラスタ (1)

ということで、こちらの記事であります。経済産業省の元キャリア官僚様でありまして、ユニバーシティオブトーキョーのご卒業でもありますから、かなり過激ななんとか課長の後輩ということになるのでありましょうか。エネルギーコンサルタントという肩書になっておられるので、最近ではウマウマするほうにも回られて・・・だそうでありましょう、きっと。ということで、あちら側のご事情にもこちら側のご事情にも詳しい方、ということでありましょうか。

経産省の唐突な過積載規制に怯える太陽光発電業界
2017年07月24日 16:16
宇佐美 典也
エネルギーコンサルタント
http://www.gepr.org/ja/contents/20170724-01/

経産省の唐突な過積載規制に怯える太陽光発電業界

過積載規制ではなく、事後的過積載規制であります。「いわゆる過積載」と「いわゆる事後的な過積載」は全く別物であります。過積載自体は何百パーセントでも規制はないわけでありますし、なんとか課長もむしろ望ましいとコメントをされているわけです。本文中では間違っていなくてタイトルだけが間違っているようでありまして、もしかしたら編集さんが勝手に短くしてしまったのかもしれません。ところで、唐突でもなんでもなかったような。予定どおりでありませんか、どうですか。

今回の規則改正案は、後述する太陽光発電における「事後的過積載問題」を規制するものなのだが、この内容が規則改正以前の事業行為を罰する事後法的な性質を含むものだった。

いやいや、罰してはいませんよ。事後的な過積載をやっちゃいかんとは書いていません。やれるもんならやってみろとは書いてはありますが。

実際に担当課である経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー課の山崎琢矢課長自身が日経BP社のインタビューにおいて「~過去の増設工事にも遡ることに関しては、「公共の利益」に反すると判断できれば憲法上、ルール変更前の工事まで遡求して適用することも可能と考えています」と述べている。我が国の憲法上民事における事後法の制定は全く禁じられているわけではないが、事後法による財産権の内容変更は「公共の福祉に適合する」と判断できる場合に限られており、この発言はかなり過激なものと言えるだろう

元後輩さんも「かなり過激」とお考えでしたか。

仮にこのまま対策無しに規則改正が強行された場合、事業者によっては数百億円規模の損失が出ると見られており、現在複数の事業者や弁護士事務所がロビイングや行政訴訟に向けて動いていると見られる

パブコメ初日あたりにやっていた展示会で、ウマウマな権利持ちをターゲットに、事後的な過積載をおすすめしてウマウマしようとしていたいろんな出展者さんもプンスカでありますね。高級会員制業界団体は知っていたんじゃなかなーなんていう気もしますが出展者からはきっと¥をとって・・・、いえ、なんでもありません。まあ、そんな出展者さんのところをいくつかのぞきましたが、29円くらいの権利じゃあ「こいつからは金がとれん」と思われてお茶だけいただいて退散だったりしたわけでありまして、そのあたりはどうでもよいです、ええ。

この規則改正案についてはまだパブリックコメントの段階で、おそらくは何らかの救済措置が取られるものと思われるが、事態は予断を許さない

楽観視している方も多いようでありますが、当ブログ主も余談を許さないと思っております。叩きやすいところを叩く、取りやすいところからは取るのは昔からのお上の伝統であります。

発電機となる「太陽電池の合計出力(以下「DC出力」)と系統への接続容量となる「パワーコンディショナの出力(以下「AC出力」)」のいずれか小さいほうの出力の値、を登録するものとされてきた。

・・・とみんなが省略して言うから危なっかしい理解しかしない事業者のようなものが増えているわけであります。「パワコンごとにパワコン容量とパネル容量の小さい方」の合計であります。こう書いておかないといろいろなエキセントリックなことができるのにそれを検討外にやっちまう方もいたりいなかったり。

DC出力がAC出力を大幅に超過する「過積載」と呼ばれるシステム

過積載というのはシステムだったのかどうなのかはよくわかりませんが、大幅に超過するのは「スーパー過積載」だと言う声がすもうおおのか鹿嶋方面から聞こえそうであります。

そのため太陽光発電所を建設して運転を開始したのちに、経産省に無断で太陽電池の増設工事を行い、「事後的に過積載率(DC出力/AC出力)を大幅に高める」例が多数みられるようになった。

無断で増設だったら連系拒否・権利召し上げでいいんじゃありませんかと思うのですが。中小零細が駆け込みしてまで雑魚のようなウマウマをするのがうらやまけしからんと叩くよりも、無断増設を取り締まるほうが、お上のとってはノーリスクハイリターンではないかという気もいたします、多数みられるのであればでありますが。

これは制度上全く禁じられていない行為であったが、2016年末から2017年初頭にかけて経済産業省の審議会において、このような「事後的過積載」は制度開設当初の高い調達価格とシステム価格の下落の恩恵を両方受けるものであり、最終的には国民負担の増加につながるものとして制度の趣旨に合致せず好ましくないとの指摘がなされるようになった。

無断増設は制度上禁じられてますから、取り締まらないのはお上のサボタージュであります。無断でない増設についてうらやまけしからんとプンスカが審議会であったのはみなさまもご存知のとおりでありますが、サボタージュしておいて、別のやりやすいところだけをターゲットにするというのはいかがなものでありましょうか。

そこで今回の規則改正案は、このような「事後的過積載」を抑制するため主要な変更事項に「太陽電池の合計出力(DC出力)」の変更を追加し、「3%以上のDC出力の変更」を行なった場合、調達価格を変更の認定を受けた日を基準に引き下げるものとした。

おそらくメガクラスしか相手にされていないエネルギーコンサルタントなお仕事なので雑多なことは省略されているのでありましょうけれども、DC出力(パネル容量の合計)の「3%以上かつ3kW以上増加」「20%以上の減少」のが引き下げの対象になるわけでありまして、でかい規模なら3kW増加なんて当然該当しちまうから省略とりあえずどーんと増加させておいてあとで実際に合わせて減量なんて姑息なことをしませんよということでありましょうか。

この調達価格引き下げによる経済的損害の規模を概算すると、「調達価格の引き下げ分×20年間の発電量」ということになる。1kwの太陽光発電システムの年間発電量は1200kw程度とされており、例えば調達価格36円の案件が事後的に調達価格を21円に引き下げられた場合、1kwあたり「15円×24000kw」で36万円の損失が出ることになる。市中に多い(調達価格36円、AC出力2MW、DC出力3MW)程度の発電所ならば、10.8億円程度の損失が予想されることになる。

なるほど、この数字を使えばなんとか課長は「10.8億円の公共の利益が守られた」とも言えるわけで、お上にとってはこれは朗報であります(?) つか、36円なものならとっくに運転開始しているのが自然ではありますから、運転開始しているものに事後的に増設したとすると20年で計算するのはおかしいわけであります。えっ、運良くまだ運転していなくてこれからまったりと安くて高効率なパネルを調達? そりゃ、ウマウマな案件でありますから、まあコメントは控えますけども、うらやまけしからんの大合唱を受けながらがんばってください。うらやまけしからんです。市中の片隅の低圧のみなさん、がんばりましょう(?)

このような大規模な損失を事業者が黙って受け入れるはずはなく、おそらく経産省が強引にこの規制を導入しようとした場合、全国各地で行政訴訟が沸き起こることになるだろう

どうやらこのエネルギーコンサルタントさんが関連されている案件でも、冷や汗モノがあるのかなと予想します。

こうした規則改正案の問題の解決に求められる対応は非常にシンプルで、規則改正案の施行までの間に事業者からDC出力の補正または変更を受け付ける集中期間を設ければよい。そうすれば事業者はこの期間にDC出力を最新の数値に修正することで、規則改正案の事後法的な性質は解消されるので、おそらくは経済産業省はそのような対応をとることになるだろう。

補正または変更ということでありますが、「補正」「変更」の違いは何なのでありましょうか。まさか、無断でやったのを訂正させてお目こぼしなんてことでしょうか。うーん、まさかエネルギーコンサルタントさん、そういうイケナイ案件をお抱えなんてことが、いえ、完全に個人の想像です。

長くなりそうなので、続きは明日にいたしましょう。

いやー、大学とお仕事先のなんとか課長の後輩さんで、今度はウマウマする側に回れた方の貴重なお話ってやっぱりいいものですね、という方はこちらをクリックであります。

にほんブログ村 環境ブログ 風力発電・太陽光発電へ 

■ お知らせ(1)
弊社の発電設備の発電量・過去の実績弊社発電設備の発電実績 から、ご覧いただけます。なお、「ねぎ」「えび 1号」では TIGO Energyにより DC側発電量のみを監視しておりますので、DC側発電量を実際の売電量(AC側)に換算される場合には0.9くらいをかけてください。

■■ お知らせ(2)
太陽光発電の設備の設計や購入に関するご相談をいただくことがときどきあります。技術的なご相談はお受けできることもありますが、特定の案件に関するご質問で検討・回答に時間がかかるようなものをタダでいくらでもというわけにはいかないことはご理解ください。ブログのネタにできるような一般的なご質問は結構お答えできるかもしれません。また、業者さん(メーカーさん・施工業者さん・販売業者さんなど)の信用状態に関するご相談はいただきましても回答することはできません。「民間企業の寿命は案外短い」「この業界はいわゆる太陽光バブルで新参者がたくさんいてそういう業界・業者さんはだいたい(中略)」ということを念頭において、ご自身のご判断で取引業者さんをご選定ください。信販審査通ってもアレ、公庫の融資審査通ってもまたアレ、こっそり見積もりの金額を上げられたり、こっちが発注しますといってから1割近くも値段を上げられたり、インターネットがつながらない状態で遠隔監視システムを中途半端にそこに物理的に付けただけで(以下略)などなど、業者さん選びの引きの弱さは自信があります。そんなわけで業者さんの信用状態のことは当ブログ主は聞かないほうがいいと思います。ねぎソーラーの頃は恵まれていたんだなあとひしひしであります。

■■■ お知らせ(3)
最近、分譲物件のご購入に関するご相談を多くいただいております。利回りだけを見て検討されていると思われるケースが少なくないようでありますが、メーカーさんや業者さんがまともな根拠もなくシミュレーションをしていると思われる例(「実績」と言いながら近くに比較対象になっているべき設備が存在しないもの・明らかに発電量を多く盛りすぎと思われるもの・いわゆる過積載のいわゆるピークカットをシミュレーションでまともにやっていないのに実績自慢をするような例)や、土地代が含まれていないのに土地付きとかなんじゃそりゃというものもあったりしますし、土地賃料を抜いて利回りを計算したり、利回りを2倍近くに盛っている例もありました。シミュレーションやそれをもとにした想定利回りは「シミュレーションなので保障しません」でなんとでも言い逃れができるものではあります。イケイケなのか下請けに丸投げなのか担当者が勝手にやり放題なのか、結構いい加減な会社さんもこの業界には少なくないようであります。また、支払い条件(特に多額の前払いの要求・多額でなくても要注意ですが)にも十分ご注意ください。どうかみなさまにおかれましては、取引先選び・物件選びは自己責任という大前提のもと、利回りのみならず将来の収支をよくご検討の上、価格の適正さをご自身の責任において見極めてご判断をされますようお願い申し上げます。

■■■■ お知らせ(4)
次回の情報交換会(JK27)は8月ではなく、たぶん9月です・・・と思っていたのですが、やはり8月かもしれません。日程に関するご意見・ご要望をお待ちしております。

コメント

  1. 匿名希望 より:

    補正もなにも、無断もなにも、普通の事後的過積載は、
    軽微変更してからやるのが普通なのに、
    すでに6ヶ月(なんと半年W)実質申請システムが動いていない
    状態で、無断だ!って騒いだ時点で、じゃあ半年受付しなかった責任は?
    となると思われます。

    正直今回のパブコメまでまったく合法的な手続き可能な制度が
    いつの間にか、行政手続きの停滞を棚上げして
    「業者が悪い、プンスカ、プンスカ」になる時点で
    エネ庁の責任者の罪が重すぎますね。

    是非破綻した企業の経営者様がくらいつくくぐらいの訴訟で
    山々課長コンビがクビになることをお祈りしてます。

タイトルとURLをコピーしました