全然唐突ではないけども事後的過積載規制で盛り上がるこちら側のクラスタ (2)

全然唐突ではないけども事後的過積載規制で盛り上がるこちら側のクラスタ (1)の続きであり、締めのところであります。

ここまで規則改正案の問題について述べてきたが、最後により大所高所に立って、今回の規則改正案の背景となった「過積載」に対する正しい評価と対処のあり方について考えたい。今回の規則改正案では「事後的過積載」に焦点が当てられ、「国民負担の増大」というデメリットのみが強調され、厳しい規制が導入されようとしているが、過積載自体は必ずしも絶対悪というわけではなく、本来はそのメリット・デメリットを正確に把握してイノベーションを促す制度を設計することが求められる。

おっ、なんとか課長さんの、ユニバーシティオブトウキョーの後輩、経済産業省の後輩からの大所高所に立ってのお考えでありますよ。発電事業者のようなものの輩のゴネとかクレームの類なら「はいはい、御意見として承っておきます」であっても、こういう方からのお考えならお上もちょっとくらいは聞いてくれるかも!であります。

過積載のメリットについては、「系統の有効利用」という点があげられる。前述の通りDC出力とAC出力が同等の太陽光発電システムは、概ね設備利用率が13%に落ち着くことになるが、これは裏を返せばせっかく与えられた貴重なインフラである電力系統への接続枠の87%を無為に占拠しているということである。これが150%の過積載システムの設備利用率は20%程度になることが知られているが、この場合系統の無為な占拠は80%程度まで下がることになる。現在はコスト的に困難だが、将来的に蓄電池を最大限利用する形で、例えば500%程度まで過積載率を高めれば設備利用率は60%近くにまで高まる可能性もある。このような過積載と蓄電池を組み合わせる技術が普及すれば、調整電源となる火力発電への負担も減少し、我が国のCO2排出の抑制にも大きく貢献するものと思われる。

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他方過積載のデメリットとしてあげられるのは何と言っても「国民負担の増大」である。調達価格の高い太陽光発電所からの電力の買取量が過積載によって増えることは、再エネ賦課金を通じた国民負担の増大に直結する。他方で調達価格21円以下の太陽光発電に関してはすでに家庭用の電力料金と同等かそれ以下にまで下がってきており、こうした調達価格の低い太陽光発電に過積載がなされても国民負担の増大には必ずしも繋がるものではないと考えられる。

これは過積載のデメリットではなく、事後的な過積載のデメリットでありますね。事後的ではない過積載については設備利用率の向上ということでなんとか価格等算定委員会なみなさんで議論されて、お上が決定された買取単価に含まれているわけであります。前提となる過積載率以上に(事後的ではなく最初から)過積載をしている奴がいてうらやまけしからんという話で(もし)あれば、山梨や長野のような想定や平均よりよも日射量のいいところでやるのはけしからん、安い土地を買って想定よりも安いコストでやるのはけしからんというのと同じレベルの話になってしまいます。

このように過積載に関しては必ずしもデメリットばかりというわけではないにも関わらず、今回の規則改正案では極めて厳しい過積載規制がなされたのはやや拙速と評価せざるを得ない。現在太陽光発電業界においては、調達価格の高い太陽光発電所が系統への接続可能枠の大半を占め、新規案件にほとんど系統接続枠が割り当てられず、プロジェクトが成立しない状況にある。このような中で今後はむしろ過積載の利点を生かす形で設備利用率を高め、系統の接続枠に空きを作り、調達価格の低い太陽光発電の導入を促していくようなアプローチも検討すべきである。例えば今回の規則改正案の施行を契機に、調達価格が高く過積載率が低い太陽光発電所から、系統の接続枠の一部を調達価格が低い新規プロジェクトに割り当て直すようなアプローチが考えられる。

やや拙速と評価せざるを得ない、とは穏便な表現でありますね。インタビューで粗悪燃料を仕込んでおいて、なんとか代行センターなどなどとの連携プレーで発電事業者とか発電事業者のようなもののイライラレベルを引き上げておいたところで、くそ暑い夏に着火、これはやや拙速どころか相当にアレなレベルであります。まあ、あのインタビューの時点でそのうちその燃料に着火されるぞと思っていなかったような発電事業者のようなものな方がいればそれはちょっとに鈍感過ぎるんじゃないんですかという気もします。
どんなアプローチが適切なのかというは結構難しい話ではありますが、過去のことはウマウマしている当事者とそれを通した国会議員(再エネ特措法は全会一致で可決ですよ・念のため)に責任をとってもらうとして、今後は、事後的な過積載による発電電力量に対しては現在のコストや想定利益を前提とした買取単価相当となるような制度設計でありましょうか。「現在のコストや想定利益を前提とした買取単価」が正しい設定であればという前提ではありますが、ウマウマすぎる利益にはとはならずに、土地を持て余していたりパワコンの入力回路を持て余していたりパネルを持て余していたり(?)すると当然全く新規に始めるよりはコスト効率的な導入になるはずでありまして「事後的過積載やったるで」は好ましいコストでの再エネの導入量が増える、ということになるのではと思うわけであります。

現在の経済産業省の政策は、目の前の問題に対処するため過積載を「悪」とみなして角を矯めて牛を殺そうとするようなものとなっているが、本来は過積載のメリット・デメリットを意識した再生可能エネルギーのイノベーションを促す制度設計が求められるところである。系統の接続枠の経済的取引や蓄電池の活用など過積載の特性を正しく活かす政策を取れば、我が国における太陽光発電市場はまだまだ成長の余地があり、今回の規則改正案は対症療法として仕方ないとしても、今後は政策の見直しを進めていくべきである。

イノベーションってほどのものなんでしょうかという疑問はありますが、うらやましからんボロ儲けは「悪」としていただくとしても、メリットはそれなりに評価をしていただきたいものであります。つか、過積載自体は好ましいと、あのなんとか課長さんも言っていたではありませんか。

ということで、そんなこんなでいろいろとありますが、ウマウマな権利でうらやまけしからんな事後的過積載をたくらんいでる方は「悪」な牛のようなもののような扱いのようでありますので、ウマウマな権利でこれから安いパネルでゆるゆると着工されるような方は「極悪」な高級ビーフなのでありましょうか。お食事が足りていないのであればそちらの高級ビーフのほうの取り締まりこそ過剰なウマウマでありまして、国民負担の利益に反するものでありますから、しっかりやってもらいたいものであります。きっと怖くて手出しができないと思いますけれども。

せっかくですから、ちょっと懐かしいものでも貼っておきましょう。5年前のものですね。

再生可能エネ、産業革新の準備は整った=村上敬亮資源エネ庁新エネ課長に聞く(上) — 手厚い振興策で参入にチャンス
2012年08月06日 16:00
村上 敬亮
経産省資源エネルギー庁新エネルギー対策課長
http://www.gepr.org/ja/contents/20120806-02/

日本は計画経済の国ではありません。行政が目標を定めても、その実現には、企業や市民の皆さんの思いが重ならなければ実現はしません。目標の現実味を呻吟すること以上に、その議論のプロセスから互いへの信頼感を醸成できるかどうかが重要ではないかと考えています。

過度なイケイケやウマウマな思いは重ならなくてもよいと思うわけですが、今回の手口や内容が信頼感を醸成できるかというと相当にアレでありますね。

そんなこんなでありまして、パブコメの締め切りは今週金曜日の昼の12時でありますので、忘れないように出すようにいたしましょう。

ということで、そろそろ材料も揃ってきたし今夜から一発コメント書いたるでという方もそうでない方もこちらをクリックであります。

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