小型風力がどうなるかでありますが


風力はかっこええなと思いながらも、よほど風況のよい土地を持っていない限りは投資対象にはならないと考えている当ブログ主です。

さて、この記事。

2018年03月06日 07時00分 公開
自然エネルギー:
小型風力の急なFIT価格撤廃で「倒産もあり得る」、業界団体が政府に陳情
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1803/06/news048.html

風力発電事業に関する業界団体である国際風力発電協会

一般社団法人日本風力発電協会さんとか、 一般社団法人日本小形風力発電協会さんとは別モノのようでありますが、検索をしてもホームページが見つからず、実態がよくわかりませんでした。国際風力協会(IWTA)というところがありましたは、ここと同じでありましょうか。同じものだとすると、この協会さんのホームページか、それともこの記事かが、組織の名前をうっかりさんしてしまっていることになりますね。

国際風力発電協会によると、本件の問題点は

  • FIT価格引き下げの審議(2018年1月19日開催の調達価格等算定委員会)から、一般風力と同等の価格が適用される2018年4月1日までの期間が非常に短い。算定委員会で議論が尽くされたとは考えられず、メーカーや発電事業者などは対応が困難
  • 小型風力は発電出力20kW以下、受風面積200平方メートル以下で規定される日本特有の区分。よって、日本市場向けに機種開発や、小型風力の規制である日本海事協会認証の取得などを行ってきた海外メーカーは特に大きな経済的損失が発生する
  • 算定委員会でFIT価格引き下げの要因として指摘があった「小型風力の設備利用率の低さ」は、風況の悪い立地の風車による平均値押し下げであり、風況の良い風車では設備利用率は高い
  • 小型風力の55円/kWhというFIT価格が高額であるため、価格引き下げることによって国民負担の低減につながるという指摘は適当でない。現在1世帯当たりの再生エネルギー発電促進割賦金は月額792円であり、そのうち小型風力が占める割合は0.07%。今後、小型風力の導入が進んでも1世帯当たりの負担が10円を超すことは無いだろう

などと指摘。

お上としては、太陽光みたいにバブルになったら困ることに加えて、太陽光以上にかなり怪しげな立地のものも多くて、それゆえ太陽光以上にいろいろと問題になる前に火消しをしておこう、ということなのかもしれません。調達価格等算定委員会はプロレスみたいなもので「お上が準備した資料のとおりとしてはどうか」であります。あのメンバーで価格そのものを何円だと議論を尽くすのはそもそも仕組みではないと思わけであります。「高いよ」「設備利用率低いよ」「先があまり期待できないよ」→「そだねー」→「じゃあ区分廃止」くらいで話をするのがあの委員会の機能ではないかと思うわけであります。

この協会の方々が来年も55円と思われていたのか、せいぜい50円だろと思われていたのかはよくわかりませんが、太陽光と同じノリで毎年10%オフ、フフフ(ただし円未満切り捨て)で計算していても、2018年度は49円、2019年は44円、2020年は39円なわけであります。

日本独自仕様だったりなんとか認証とかのおかげで、太陽光とちがって中華な輸入パネルがどかどかと入ってきて価格破壊といった流れは、簡単には期待できないわけでありますから、お上が「高いね」「この先もあまり安くならないね」「この特別扱い、いらないっしょ」、調達価格等算定委員会「そだねー」になるのは自然な流れであります。

「海外メーカーは特に大きな経済的損失が発生する」は先走ってしまった(日本側のだれかが先走らせた)のミスでありましょう。「日本ではウマウマできるから安いの作ってね、投資家には利回り10%とれる値段で売っておいらがウマウマするから」的な雰囲気だったりすると残念なわけであります。

何事もチャレンジでありますから、2018年18円→2019年16円→2020年14円(毎年10%ずつオフ・円未満端数切捨て)な太陽光のような価格は厳しいとしても、他の種類の電源と遜色のない程度にはなんとかならんものかと思いました。「買取価格がXX円になっても投資家の利益が出る程度にコストダウンしてね」といった具体的な目標があって商品開発が進んでいたのでありましょうか。いつまでにいくらまで下げられるのかの見通しがお上の耳に入っていれば、また結論はちがったのかもしれません。

で、そういう前向きな話ではなく「1世帯10円超えないからいいだろ」ではどうかと思います。日本の世帯数は5,700万世帯ほどでありますが、「5.7億円なんて大した金ではないから俺たちのために使えよ、先に見通しなんてないけどな」ではスジが悪すぎるのではと思うわけです。毎日コーヒー1杯のお値段でイルカの絵を買いませんかのエウリアン的なロジックを感じます。

こうした陳情に対し、資源エネルギー庁は

  • FIT価格引き下げにより、小型風力に関与する事業者に影響が発生することは理解している
  • 「設備利用率の低さ」は、風車自体に問題があるのではなく立地に問題があると算定委員会でも理解している。FIT価格引き下げの要因は、風車の設備費など資本費が高止まりしていることも要因にある
  • 再生エネルギー発電促進割賦金おける小型風力の割合が低いので、国民負担も低いとは言えないのではないか。国民負担が発生している以上、算定委員会では負担が低いとは考えていない
    などと回答した。

特に三点目はまさにそのとおりであります。大した量がまだ導入されていないわけですから、金額そのものは小さいのは当然であります。将来の見通しを示したうえで、「確かに導入量あたりの国民負担は大きいけれども、総額としては大きくないわけで、こういう見通しで価格を下げることができるから、がんばるからここでばっさり切るのはやめてくれよ」と、負担はあるけどもそこをなんとかという流れが正しいのではに思えます。

小型風力については、確かにいきなりの区分廃止はやや荒っぽいとの印象はあるのですが、太陽光の次の二匹目のドジョウとばかりにもっと荒っぽい人が食い散らかすようなことは目に見えている中で、「なんとか認証のような意味がどれくらいあるのかよくわからないものはなるべく簡略化して」「高さや大きさは可能な範囲でなるべく規制を緩くして」「一定以上の適地のみを前提として買取価格を決め」これで、2020年までにそれなりのコストに下がる見通しを立てて、だめなら区分廃止が妥当ではと思うわけであります。

と、いうことで、風況が本当によい土地を確保できる方はがんばってくださいであります。確保できない方はここをクリッククリックで風が生まれる・・・かも?

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