新年度なので久しぶりに、東向きと西向きと半々に設置したらどうなるかの妄想を。240%過積載の場合。


某所で話題になったので、東向きと西向きと半々に設置(以下、東西設置)したらどうなるかの妄想を作りました。全部真南に設置するよりも、半分を真東、残りの半分を真西にすればピークカットが分散して小さくなるかも、という考えでありますね。5年以上前にこの手の計算をネタにはしていたのですが、焼き直しです。

  • METPV-11の茨城県鹿嶋のデータを日射量使用。パネルの傾斜角は10度。
  • 想定発電量(kWh)は1時間ごと計算し、日射量×パネル容量×95%(パワコン変換効率や電圧降下を想定)×温度による効率低下相当(月により80%~90%)で計算し、49.5kWhを上回る場合は49.5kWhとする。
  • パネル容量は119.88kW (過積載率約240%・370W×324枚をとりあえず想定)
  • パワコンはマルチストリング(入力回路ごとにMPPT内蔵)、あるいはMPPTが偶数個内蔵されいて、1個のMPPTには真東向きと真西向きのパネルは混在しない前提。
  • 影の影響は考慮しない。
  • 時間帯ごとの気温変化は考慮しない。(気温を考慮するのは上記の80%~90%のみ)

結果はこちらです。

  • 5月から7月までに限っては東西設置がほんの少しだけ優位
  • しかし、他の月は真南設置が優位
  • 通年でも真南設置が優位

ということになりました。

あくまでも、MONSOLA-11のデータと、上記の条件をもとに計算したものなので、他の条件は考慮されていません。東向きのパネルは午前中に発電を稼ぎますが、その時間帯は気温は低めですからもう少し発電するじゃないかという気はします。

ただし、東西設置をした場合で近隣に住宅がある場合には反射光の影響をより慎重に検討する必要があります。(太陽電池のガラスの特性は一般に、入射角が大きい場合にまぶしい反射光を出します。)

以下、想像とか推定です。

  • 「東西設置」にすることでピークカット減るけれども、それを考慮してももともとの発電量が多い真南設置のほうが優位、が結論かと思います。
  • 「影の影響は考慮しない」が条件ですが、東西設置は間隔を詰めることができます。入れたいパネル容量に対して土地が不足する場合は一部または全部を東西設置とするメリットが出てくるのではと思います。
  • 過積載率を上げると、「5月から7月までに限って」よりも東西設置が優位な期間が広くなると考えられます。ただ、現状のパネルのお値段や施工コスト、またこれらに付随して生じる固定資産税を考えると、300%とか400%の過積載というのは、限られた条件下でのみ有効なのかなという印象です。
  • なお、「詰め込んでパネル容量を増やして、蓄電池も併設」というのも電力システムにはやさしいコンセプトですが、太陽電池の合計容量が50kW以上の太陽光発電システムのパワコンの直流(DC)側に蓄電池等を入れると、電気事業法上は「一般用電気工作物」ではなく「自家用電気工作物」になり、電気主任技術者の選任義務などが生じますのでご注意ください。また、リチウムイオン電池といってもピンきりですので、20年持つとも限りません。

と、いうことで、珍しくお役に経ちましたでしょうか。

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