法規を正しく理解することは、正しい事業者の第一歩であります。


都内に来るなとか、県外に行くなとか、気に入らんことを言ったからみせしめだとか、上からユリコにお腹いっぱいに今日このごろです。熟女はきらいなほうでなかったのですが、きらいになりました

つか、前日に、ビッグサイト、無観客でならやってもいいよとか、ちょっとひどくね、東京都 with 東京都天下りチーム

さて、タイトルの件、法規を正しく理解することは正しい事業者の第一歩であります。

もちろん、完璧に暗記とか、そういうことは無理だとしても、正しく理解しようという気持ちは大事です。忘れたりあやふやであればそのときに調べて正しく理解すればよいのですが、ブログなどを書かれている方は、忘れたりあやふやな部分はよく調べて間違いのないように書きたいものです。

さもないと、「いい加減な事業者」とレッテルを貼られてしまいます。影響力のある方ならなおさらです。当ブログは影響力は全くありませんが、それでも気をつけています。

では、高圧連系・低圧連系・電気主任技術者選任の要否を整理してみましょう。

まず連系電圧についてです。東京電力さんの場合で見てみましょう。

系統アクセスルール[高圧・低圧版]
https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/rule-tr-dis/pdf/keitouH-j.pdf

(2) 連系電圧
連系電圧の選定は,下表のとおりの公称電圧を基本とする。
受電電力の最大値・発電機容量・契約電力のうち最大のもの
公称電圧
50kW 未満
単相 2 線式 100V
単相 2 線式 200V
単相 3 線式 100/200V
三相 3 線式 200V

全量買取の太陽光発電の場合、「受電電力の最大値」は発電機容量よりも小さいので、発電機容量に合わせて契約電力を決めることになります。結論はパワコン(合計)容量が50kW未満なら低圧連系、でありますね。蓄電池を付けたら高圧になるなどとおっしゃっている方もいらっしゃるようですが、少なくとも東京電力さんの系統アクセスルールにはそのような決まりはなさそうです。

「発電機容量」については、以下の「発電設備出力」になると考えるのが自然であります。(ちがったらご指摘ください。)

太陽光発電設備単独申込における書類記入例・システム入力例
http://rss.tepco.co.jp/pg/consignment/fit/images/single_entryexample%20.pdf

⑧発電設備出力

PCS(パワーコンディショナー、パワコン、インバーターとも言う)と発電設備(太陽光パネル、モジュールとも言う)のいずれか小さい方の値を0.1kW単位で端数を切り捨てて入力します。

なお、複数台の発電設備を設置する場合は、各々の発電設備容量とその発電設備に紐づいているPCS容量の小さい方の値の合計を入力します

ちなみに高圧に関しては、系統アクセスルールにこのような記述があります。高圧は容量だけで自動的に連系電圧が決まるわけではないようです。

(2) 連系電圧
連系電圧の選定は,下表のとおりの公称電圧を基本とするが,連系する発電機容量によって系統に与える影響度合いが異なることや発電所周辺の系統状況などにより,公称電圧を一律に適用することが困難な場合があることから,公称電圧と異なる連系電圧を選択する場合がある。したがって,最終的には受電電力の最大値や発電機最大出力等に応じて技術面,経済面,用地面の観点から連系電圧を選定することとなる。

受電電力の最大値・発電機容量・契約電力のうち最大のもの 公称電圧
2,000kW 未満 6.6kV
2,000kW 以上 10,000kW 未満 22kV
10,000kW 以上 50,000kW 未満 66kV
50,000kW 以上154kV

次に、主任技術者選任の要否です。これは以前にも記事にしていました。勝手に「低圧だと不要、ウェーイ」と思われている方も多いようですが、そのような整理にはなっていません。(間に蓄電池を入れない構成が一般的であったために、結果的に「パワコン50kW未満=低圧連系=一般用電気工作物=主任技術者選任不要」になっていたわけです)。

低圧か高圧かではなく、電気事業法上の出力で区別されています。そして、その出力は「原則は太陽電池の合計容量」で、「太陽電池とパワコンの間に電気を消費または貯蔵する機器がなければ、パワコンの出力にしてもよい」です。(つまり、認定上の出力とは別の値になることもあります。)

太陽電池発電所に関する情報
https://www.safety-tohoku.meti.go.jp/denki/denkihoan/taiyodenchi/taiyoudenchi_index.htm

太陽電池発電設備の出力は、原則として太陽電池モジュールの合計出力で判断しますが、太陽電池モジュールとパワーコンディショナーとの間に電気を消費又は貯蔵する機器(蓄電池等)を接続しない場合は、パワーコンディショナーの出力で判断してもかまいません。

太陽電池発電所の設置に係る電気事業法上の取扱いは、その出力に応じて、次のようになっています。

1.出力50kW以上の太陽電池発電設備(発電所扱い

電気事業法上は電力会社等の電気事業用のものを除いて、「自家用電気工作物」になり、次の義務が発生します。

(1)経済産業省令で定める技術基準に適合するように電気工作物を維持する義務。(法第39条)

(2)電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定めて届け出る義務。(法第42条)

(3)電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために、電気主任技術者を選任して届け出る義務。(法第43条)

(太陽電池発電設備が出力2,000kW未満の場合に、経済産業大臣又は産業保安監督部長の承認を得て、電気主任技術者を兼任させようとする手続きや、保安管理業務を外部に委託する手続き、出力500kW未満の場合に、経済産業大臣又は産業保安監督部長の許可を得て、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者に選任する手続きもあります。)

(4)その太陽電池発電設備が出力2,000kW以上の場合は、設置工事の30日前までに工事計画届出書を届け出る義務。(法第48条)

(5) その太陽電池発電設備が出力500kW以上2,000kW未満の場合は、使用の開始前に技術基準に適合することを自ら確認し、その結果を届け出る義務。(法第51条の2)

2.出力50kW未満の太陽電池発電設備(小出力発電設備扱い

電気事業法上は「一般用電気工作物」になり、届出等の手続きは不要ですが、経済産業省令で定める技術基準に適合させる義務があります。

ただし、自家用電気工作物と当該太陽電池発電設備の間に電気的な接続がある場合など、施設方法によっては「自家用電気工作物」となる場合があります。

では、ここで一般用電気工作物についてもまとめておきましょう。

自家用電気工作物とは
https://www.safety-chubu.meti.go.jp/denryoku/jikayou/teigi.html

まず、電気工作物ですがこれです。

電気工作物(電気事業法第2条)

発電、変電、送電若しくは配電又は電気の使用のために設置する機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路その他の工作物(船舶、車両又は航空機に設置されるものその他の政令で定めるものを除く。)をいう。

で、電気工作物は「一般用電気工作物」と「事業用電気工作物」に分けることができて、「事業用電気工作物」はさらに「電気事業の用に供する電気工作物」と「自家用電気工作物」に分けることができます。

一般用電気工作物(電気事業法第38条、電気事業法施行規則第48条)

次に掲げる電気工作物をいう。ただし、小出力発電設備以外の発電用の電気工作物と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所であつて、経済産業省令で定めるものに設置するものを除く。

  • 他の者から600V以下の電圧で受電し、その受電の場所と同一の構内においてその受電に係る電気を使用するための電気工作物(これと同一の構内に、かつ、電気的に接続して設置する小出力発電設備を含む。)であつて、その受電のための電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの
  • 構内に設置する小出力発電設備(これと同一の構内に、かつ、電気的に接続して設置する電気を使用するための電気工作物を含む。)であつて、その発電に係る電気を600V以下の電圧で他の者がその構内において受電するための電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの

「小出力発電設備」とは、600V以下の電気の発電用の電気工作物であつて、次のとおりとする。ただし、これらを組み合わせて設置したときの出力の合計が50kW以上となるものを除く。

  • 太陽電池発電設備であって出力50kW未満のもの
  • 風力発電設備であって出力20kW未満のもの
  • 水力発電設備であって出力20kW未満及び最大使用水量1m3/s未満のもの(ダムを伴うものを除く。)
  • 内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力10kW未満のもの
  • 燃料電池発電設備(固体高分子型のものであって、最高使用圧力が0.1MPa未満のものに限る)であって出力10kW未満のもの

と、いうことで、とても長くなりましたが、要約すればこんな感じになります。

  • パワコン容量が50kW未満であれば低圧連系で、
    • パネルとパワコンの間に蓄電池等がなければ、「一般用電気工作物」に該当する「小出力発電設備」なので、主任技術者の選任は不要。
    • パネルとパワコンの間に蓄電池等があって、かつ、パネル容量が50kW以上であれば「小出力発電設備」「一般用電気工作物」ではなく、「自家用電気工作物」になるので、主任技術者の選任が必要。

主任技術者の選任の要否は、連系電圧で決まるものではなく、また、認定上の容量で決まるものでもなく電気事業法上の出力や「小出力発電設備」に該当するかを要チェックであります。

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コメント

  1. ガンガン より:

    補足なんですが、実は2011年までは、20KW未満までが主任技術者選任必要なかっただけで
    21KW以上は必要だってんですねw
    全量買取制度が始まってから50KW未満に緩めただけなんですよ。
    実は。

    なんで「事故が多発してもメンテしない低圧発電事業者がクズだから、原則に戻すね?」ってのは簡単です。

    遡及効はダメダメっていっても、メンテや維持管理は現在から未来のお話なんで、遡及にすら当たりません
    (過去に主任技術者選任してなかったから認定取消となれば遡及効ですが。将来に備えて規制を厳格化は一切遡及ではありません。嫌なら事業から撤退する自由がありますので。)

    つまり、せっかく菅(スガじゃなくてカン)総理が緩めてくれた規制をアホウどもの自業自得で締め付けられるだけということです。

    • fppvfppv より:

      コメントありがとうございます。
      20kW未満→50kW未満になったのは2011年6月だったと思いますが、来月でちょうど10年です。
      ここらへんで一度、お上の見直しが入ったほうがいいように思います。

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