NEDO日射量データベース(MONSOLA-20・METPV-20)。パワーアップしていますね。(1)


いつも大変お世話になっているNEDO日射量データベース。これまでは

  • 年間月別日射量データベース(MONSOLA-11
  • 年間時別日射量データベース(METPV-11

でした。WEB版、ダウンロード版の両方がありましたが、FLASHのサポート終了に伴い、WEB版が公開終了となっていました。余談ですが、現在開発中の毎月の発電量をいろいろと比較してみたいぞ。(2)は、MONSOLA-11のダウンロード版のデータのフォーマットを変換して活用させていただいておりました。

2021年4月13日に、MONSOLA-20とMETPV-20が公開されたところです。結構日射量の値が大きくなっているなあという印象ではありましたが、新しいデータベースではどのように変わったのかは公開されている説明文書で丁寧に説明をしてくださっています。公開されている説明文書を読まずに業者さんが持ってきた「NEDOの数字です」を鵜呑みにして投資判断をしたりすることのないようにしたいものです。

NEDO 日射量データベースの解説書 WEB版 Ver 3.0
2021年4月
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
委託先 一般財団法人日本気象協会
https://www.nedo.go.jp/content/100930737.pdf

今回、METPV-11、MONSOLA-11 から METPV-20、MONSOLA-20 に更新するにあたり、表 1-1 に示すような改訂を行いました。本解説書は、更新版日射量データベース(以下、本データベース)について解説したものです。

きちんと解説をしてくださっています。データを利用していろいろと活用するなら、あるいはデータをもとに投資の判断をするなら一読しておきたいものです。

これまでは、MONSOLA-11、METPV-11が公開されていましたが、それぞれの統計期間は1981年~2009年、1990年~2009年とやや古くなっていました。近年、問題視されている地球温暖化による地球規模の気候変動や都市化に伴う狭い領域での気候変化を考慮すると、最近の日射状況を反映したデータベースであることが望まれます。そこで、MONSOLA-20、METPV-20は、統計期間を2010年~2018年へ更新しました。

図 2-1 は、MONSOLA-11 の整備に用いた 1981~2009 年(29 年間)と近年の 10 年平均(2009~2018 年)、20 年平均(1999~2018 年)の日射量を地点別に示したものです。赤線で示された 1981年~2009 年に対する 2009 年~2018 年の期間平均値の比率をみると、大半の地点で比率が 1 を超えており、近年の日射量の方が多い傾向が見られます。また、10 年平均の日射量と 20 年平均の日射量とでは、それほど違いがないことが確認できます。

近年の日射量は多い傾向、でも、統計期間を短くしたことで精度は大きく変わらない、とのことのようです。

図 2-2 は、従来モデル(METPV-11 で使われていたモデル)と改良モデル(今回作成したモデル)について、日射量の観測が行われている気象官署地点で 1 年分(2018 年)の毎時データを用いて推定値と観測値を比較した例です。図 2-2 より、従来モデルでは、全体的に過小評価傾向(推定値<観測値)が見られます。また、従来モデルでは、日射量が低い領域では大きなバラツキが見られます。

従来モデルで、全体的な過小評価傾向となっている要因の一つは、従来モデルのパラメータ作成に使った学習データが古く、近年より低い日射量に合うようにパラメータが調整されているためです。学習期間と統計期間を 2010 年~2018 年で統一することにより、過小評価傾向が改善しました。

また従来モデルの低日射量域におけるバラツキは、モデルの表現力に起因すると考えられます。従来の日照-日射モデルでは、アメダス観測要素の内「日照時間」を主要な説明変数としているため、直達光が雲に遮断される状況下では日照時間は全てゼロとなり、日照時間ゼロの際の雲の厚さ等による日射量の違いを十分に表現できませんでした。そこで、改良モデルでは、「気温」の観測データも説明変数として利用することで、モデル表現力の向上を図りました。なお、日照時間とは違い、気温は日射量に間接的に影響する要素であるため、依存性は極めて複雑です。そこで、複雑な依存性も表現可能な機械学習を導入して推定モデルの精度を向上させました。

だいたい上振れしますからーという楽観的なことを言う業者さんも少なくなかったわけですが、METPV-20やMONSOLA-20では、楽観的なことを言える理由の1つが消えたと言えます。そんなことはお構いなしに今後も楽観的なことを言う業者さんも、ゲフンゲフン。

METPV-11 と MONSOLA-11 では、「アメダスメッシュ法」を用いて 1km メッシュの日射量の空間分布を表現していました。「アメダスメッシュ法」とは、「アメダス地点」と「気象モデルから算出した日射量分布の相関が高い領域(代表領域)」を結び付け、「代表領域内の日射量は対応するアメダス地点の日射量と等しい」として、日射量分布を作成する方法です。

(中略)

しかしながら、日射量には雲などの出現頻度に応じた空間分布の不均質性が存在します。すなわち、アメダス地点の近傍とアメダス地点から離れた地点では日射量の推定精度に違いが現れる場合があります。そこで、今回の日射量データベースの更新に当たっては、衛星データ(ひまわり 8 号データ)を利用した高密度化を図りました。衛星データを利用する手法を、従来の「アメダスメッシュ法」に対して「ハイブリッドメッシュ法」と呼ぶこととします。

「アメダスメッシュ法」と「ハイブリッドメッシュ法」による日射量分布の概念図を図 2-4に示します。「ハイブリッドメッシュ法」は、アメダス地点が含まれるメッシュについては、アメダス地点における日射量推定値を真値とし、それ以外のメッシュについては、衛星データから推定した日射量の空間分布を用いて推定するという手法です。

(中略)

本データベースの MONSOLA-20 では、上記「ハイブリッドメッシュ法」により、より詳細な月平均日射量の空間分布を表現しました。一方、時別データである METPV-20 に関しては、地点によって代表年が異なることから、従来の「アメダスメッシュ法」を踏襲しデータを作成しました。

ということで、精度も密度もアップしました、ということですね。

発電量のシミュレーションという観点では、より正確性が増す、ということではあるのですが、昨今の分譲ヤーさんの傾向とかそのへんの観点からはいくつか注意しないといけないことがありそうです。

続きは次回の記事にしたいと思います。

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